明石海峡潮流の波 イアイニチ

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身近な三角波の怖さ

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明石海峡の速い潮が波を作る

明石海峡の速い潮が波を作る

 明石海峡は、潮流により強風のような激しい潮波ができます。

荒天対応ではなく、明石海峡の潮流対応で、ボート釣りで十二分にも気を付けなくてはいけない潮波です。

明石海峡は、幅が最狭部で3.6km・深度は約100mと狭く深く、海峡に潮が押し寄せると、最速7ノット(時速約13km/h)の恐ろしいほどの流れとなります。 同時に狭い出口からあふれ出た海流は、水深20mのラインに沿って反転する渦を生じさせ、主流とは違った流れができるところもあり、さらにはそれらが複雑にぶつかり合い、潮波を生じます。

風による波とは違うすごい波が立っていて、ボートが翻弄され、エンジンパワーを上げて波に負けないように進まないと、どこを向くかわからないような場所が点在するのが、明石海峡の潮流が速い時間帯の姿です。

海峡は最深部100m強ですが、海峡西の林崎港沖セメント磯の南側に140m以上の水深があるところがあり、この付近の最深部で、その西側は一気に水深20mまでの崖になっていて、魚探で見る海底の様子は、それこそ直角の崖です。

もし、明石海峡に水が無かったら、大阪湾側から播磨灘にかけて、まるでグランドキャニオンのような景色になっているでしょう。明石海峡から播磨灘に入ってきた潮の流れが、この崖にぶつかると一気に上昇流となり、海面近くの流れとその時の風と相まって、複雑な三角波を作り出します。

三角波とは、進む方向が異なる二つ以上の波が重なり合ってできる、三角状の、波高の高い波とされていますが、潮の流れと風の向きとがぶつかり合い、さらに違う要素まで入れば、とんでもない波がこの播磨灘でも起きます。

ここでの三角波は、決して3mも4mもある波ではなく、1mから1.5mくらいに見える波なのですが、寄ってたかって全方位周囲から引っ張叩かれるような滅茶苦茶な波です。

明石海峡図示

明石海峡図示 海上保安庁

以下、海上保安庁第五管区資料より抜粋(海保HP確認済)を参考にご覧ください。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/05kanku/

http://www.kaiho.mlit.go.jp/05kanku/kaiyo/tyouryuu/kaisetu/akashi.htm より出典

潮流の主流は、海峡の中心線上で海峡の幅の約1/3の幅です。
中央主流 は、大潮期の最強流速 が7ノットを越えることがあります。
この中心線の北側は、岸に向かうに従って 流速は小さくなるが、主流との潮時の差は小さい。
主流の南側は、 激潮を生じる 所があり、淡路島北端の松帆埼付近は比較的流速が大きく、潮時は中央主流より20~50分早い。
松帆埼の東南東方1.3海里付近における潮流は、中央主流とほぼ同時に転流 し、流速は約1.4倍 です。
南側の松帆埼東側(岩屋の北側) では、東流最強のころから反流 を生じ、以後、その規模を広げて中央部より早く転流します。
この付近では、西流末期にも反流が見られ、松帆埼の西側沿岸でも西流最強時に反流が生じるようです。
明石海峡西部のセメント磯 沖合には、地元で「イアイニチ」と呼ばれる三角波 が発生し、小型船の航行を困難にし、警戒 を要します。
この三角波は、冬季、西~北西の風(6~10m/s)が吹くときで、西流から東流に転流する頃に多く発生し、持続時間は30分~2時間でセメント磯付近からしだいに東に移動 します。

海上保安庁

これです。この「イアイニチ」というのが、明石海峡で潮の流れや風の影響でできる、恐ろしいほどの三角波です。

このほかにも西風や東風が強い時にカンタマから高倉瀬付近の急潮表示が海図にされるようなところは、翻弄されるような潮波が立ち、ボートは潮をかぶり真っ白になります。しかし、何と言ってもこの「イアイニチ」ほどではなく、「イアイニチ」は恐ろしいです。

というのは、以前に潮波は知っていましたし、それなりに見てきて、航行をしていますが、「イアイニチ」は知らなかったのです。明石海峡を抜けてきて、セメント磯の手前で何やら波で荒れているなと見えた時に迂回するかどうか迷いました。行けるであろうと突っ込んだら、とんでもない三角波で、ボートがロデオマシンに乗ったような状態になり、スロットルを開けたり閉めたり、パワーをかけたり緩めたりで、緊張の極限のようになって、抜け出た覚えがあります。こりごりです。

「冬季、西~北西の風(6-10m/s)が吹くときで、西流から東流に転流する頃に多く発生」とありますので、秋から先も含めて、1年中警戒をしたほうがよろしいので、本当にご注意ください。

海上保安庁

さて、このイアイニチですが、文献によると、「イヤな満ち潮」から「イヤニチ」「イアイニチ」「イヤニツ」などと呼ばれるようになったそうです。

明石海峡の潮の流れが恐ろしいほどというのは、司馬遼太郎の小説で、高田屋嘉兵衛「菜の花の沖」に岩屋港から船に乗る「おふく」の心境を物語っていました。女性と言えども淡路島の生まれ育ちの人が船を怖がるのではなく、明石海峡に怖さを感じたのでしょう。文中に高田屋嘉兵衛が船大工と船の設計について語り合う場面や、瀬戸内海を風に乗って潮に乗って、鳥の速さのように東西に行き交う姿が描かれていましたが、ワクワクする冒険のような思いですが、海の荒々しさを詳細に書かれている小説でした。

閑話休題。
恐ろしいことばかりを記しましたが、この急潮がブランド化された明石鯛や明石タコを生み出しています。

海底から上昇するこのような流れを湧昇流と言うそうで、海底の栄養素や砂礫などを海面に届けていることになり、日本有数の漁場である鹿ノ瀬の砂地を作り出しているのは、多くの人の知るところだろうと思います。この栄養素が、プランクトンを生み、小魚が育ち、エビやカニの甲殻類が生まれ育ち、その中で、急潮に鍛えられた鯛やタコに青物が明石のブランドに育っています。

エビカニは、真鯛と真蛸の大好物です。今度は、スズキも明石のブランドに含めるそうで、潮が動くところに生息するスズキ、私個人では播磨灘で一番おいしい魚と思っています。全国各地でブランド化された魚がありますが、それは必ずや潮の流れが速いところが多いのではないでしょうか。潮の流れは、豊かな海を作り、その海にいる魚を鍛えます。

「イアイニチ」たかが24feetのボートでは、とても怖い波でした。あれからというもの、あの海域は特に注意して航行しています。大きく迂回すれば大丈夫です。「イアイニチ」以外にその南のカンタマや高倉瀬も、明石海峡周辺は、潮波が立つところが多くありますが、二見沖、神鋼ケーソン付近、加古川河口沖もそれぞれ西風の強い時は、要注意です。西風が強くなる秋からは、要注意です。また、家島諸島からの東方面への帰路、播磨地方の山からの風の通り道があります。アニメ映画トドロの風の通り道のような風の道がありますので用心ください。

播磨灘だけではないでしょうが、この海域では西風と東風の強い時の海は、言い換えれば風の強い時の海は、用心にも用心を重ねても良いと思います。

<海上保安庁HPコンテンツ使用は確認済>http://www.kaiho.mlit.go.jp/05kanku/contents/information/#1 より出典

今釣れている旬の魚の実釣記録です。狙った潮で釣った胸のすく釣り、まぐれで嬉しい釣り、実力の貧果まで、来年の今日のための実釣記録です。99.9%ひとり気ままに午前中だけの釣りですが、おいしい魚の釣りものを参考にどうぞ。
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