カンタマブイ
明石海峡を西進して播磨灘に入り、程なく見えてくるブイで、頭に黒の三角形が下向きに2個ついていて、黄色と黒で塗装されています。南方位標識というもので、これより本船は南側を航行しなさいと表現しています。北側は水深が浅いです。ということですね。
今年の3月18日に名門大洋フェリーがこのブイに接触して、自船のプロペラに係留索を絡ませ航行不能となったのは、テレビや新聞で大きく報道されていましたので、ご存知の方も多くいらっしゃるでしょう。その時、船は動けなくなりましたが、ブイは鎖が切れてしまい、自由な行動を手に入れてしまいました。
船乗りの誰もがこのブイは、いついかなる場合も動かないと信じています。エンジンを止めていても近づいて来るのは、自船が潮か風に流されている、ブイは動いていない。不動の存在であり、位置を常に表示している存在だと、船に関わるものすべてがそういうものだと確信しています。
ところが、今回はあろうことか係留索のチェーンがスクリューにより切れて、大型トラックを縦にしたような大きな鉄のかたまりが、場所も場所播磨灘鹿ノ瀬という急潮の場所でどんぶらこどんぶらこと流れて行ったのです。
この周辺の潮流は、速いときは6knot前後です。時速10km以上になりますから、この様な潮の流れに乗って、このブイが流れてきたら、ちょっと怖いものです。
当然ながら海上保安庁が、この事後処理をしたのでしょうが、たいへんだったでしょうね。ニュースでは切れて流れて行ったことまでは報じられましたが、それ以後のニュースはありませんでしたので、幸いにも事故が発生しないで無事に回収がされたのでしょうが、いやはやたいへんなことです。
このカンタマブイからさらに南にある通称赤ボンと呼ばれる高倉瀬ブイや鹿ノ瀬のブイ周辺は、好きなポイントでタコ、タイ、青物、タチウオ等々、様々な魚のポイントが点在している、カンタマなんです。
また、これらブイのラインより西側や北側は、鹿の瀬などの浅い海域があり、3mそこそこの水深まで存在し、大型船にとっては非常に危険なエリアです。ですから、このブイの役目は、ここより北側や西側は浅瀬があり危険だということを表示しています。海図にもしっかりと記された、カンタマブイや高倉瀬のブイです。
新しいブイに交換されたのでしょうか、塗装もきれいになり、どう見ても新品のようです。今日も凛々しく不動の位置で日々航路の安全のために働いています。