船上など釣り場でも簡単に血抜きができる
meikeimaruの推論と失敗から生まれたハウツー
meikeimaruの推論と失敗から生まれた実戦ハウツー。テーマは、「釣った魚を締める」
沖釣り、meikeimaru のボート釣りというシーンで説明をします。
ひとり気ままなスタイルですから、魚を締めている間もボートは風や潮で流され、魚とにらめっこの時間は限られます。だから、活魚を扱う魚屋さんのようにはいかず、それも揺れる小さなボート上の限定条件で最大効果な方法です。ここでは、青物を主としてお話します。
まずはお試しあれ。面倒は面倒ですが、最低限の労力でおいしさ倍増です。
もし、リリースするならば、イケスに入れず魚が元気なうちにリリースです。
血を流すと魚が警戒して釣れなくなると言う方もいらっしゃいます。潮の流れの速い海域ですからそこまで気を使うこともなく、問題なかろうと思っていますが、釣り船の場合には、船長に確認を取ってください。確かにダメな船もあります。
〇 魚を締める理由
〇 イケスで泳がすのはいけない理由
〇 心臓が元気なうちの血抜き方法
〇 刺身の味が格段の違い
〇 あとがき
魚を締める理由
釣った魚を食べるならば、おいしく頂くことが一番です。必要以上に釣らない、食べる分だけ釣るを心掛けて、冷蔵庫にストックしたり、干物にして、食べきります。ならばこそ、新鮮さというか、最初の魚の状態が肝要になります。
放置で自然に死んでしまうのが、最悪でしょう。アジや小鯛ならば大きな問題がなくとも、青物と呼ばれるサイズになると、血抜きの良し悪しがおいしさを左右させます。いわゆる生臭い魚になります。
ここでいう締めるは、血抜きをして、失血死をさせる方法です。
イケスで泳がすのを避けたい理由
かつては、イケスにたくさん泳がせて水族館みたいにして、満足感を味わいましたが、アジや小鯛ならば問題なくても、高速遊泳魚の青物は、これがおいしく食べられない原因と、ある日気づきました。
小型ボートの meikeimaru のイケスは幅90cmと小さく、40cm位の魚ならば泳げますが、それ以上だと泳げず、早い段階で酸欠個体になります。航行時は、イケス内の水流が激しく、また、魚は狭いイケスで大きなストレスを受け、予想以上に弱った順に成仏してしまいます。
まとめて血抜きをすると、イケスで弱った体力では、抜けきらないうちに心臓が止まり、身に血が回った状態になり、生臭さの原因。
心臓が元気なうちの血抜き方法
釣り上げたら、まず血抜きの処理をしてからイケスなどの海水に入れます。釣った直後は、心臓が元気で、動脈のエラを切れば、身に血が回らず、さらに身の血を心臓に戻そうとしながら、失血死します。
心臓 →エラ →全身 →心臓 1心房1心室の魚は、血液が流れます。動脈の根元であるエラを切ることで、心室から圧送された血液はエラから体外に出ます。しかし、心臓の力で体内の血液は心房に戻り、エラから放出され、身の血は少なくなります。心臓が元気でよく動いている間に、エラを切ることで、自身の心臓が吸引放出ポンプになり血が徐々に抜け、身の血が気にならない程度まで下がります。
準備しておくもの
- イケスか海水循環のコンテナに海水。
- 軍手かタオル 魚を押さえる。(私は、シマノのフィッシンググリッパーで押さえ込みます)
- エラを切る料理用ハサミ (私は、ささめ針 ヤイバマルチシザースのミディアムサイズを使用)
締め方
- 床に魚を寝かして軍手かタオルで押さえ込む。魚が動かなようにする。
- エラを開いて、1箇所 はさみでパチンと切る。左右ともに。
- 白い膜から2番目のエラが良いと聞きました。確かに、血が良く出ます。
- エラ左右1本だけ切り、他は、切らない。
- イケスか海水循環コンテナに入れて、失血死するまでそのままにして、釣り再開。
- 成仏したら、氷のたっぷり入ったクーラーへ移す。
画像では、少々生臭すぎるので、作業は想像ください。
注意:エラを切るのは、安全面からハサミが良い。切った後に暴れられると、とんでもないこと……。押さえ込んで即海水へ。
これだけですが、肝は、釣れるごとに実行。面倒ですが、味を知ると手間をかけたくなります。
イケスに入れるならば、エラを切ってから入れれば、おいしさが違います。
刺身の味が格段の違い
背骨の下の血管には血は残りますが、それは静脈で、身から心臓に向かう血液ですのでOKです。イケスに入れて後でまとめてだと、魚は弱っていて、エラを切っても短時間で成仏します。血が静脈に戻らず、長く心臓が動いた魚とは、見事な差が出ます。
身の毛細血管から血を抜くことなので、心臓のポンプの力が必要です。
とにかく、刺身が違います。
神経締めではなく血抜きによる失血死なので、死後硬直は生じます。ひとりの揺れる狭いボートで難しいことはできませんが、この方法で血抜きをすれば、刺身は格段の差が出ます。限られた条件の中の最大限の効果です。
あとがき
釣るたびに手をかけるのは面倒ですが、食べるのも釣りの目的のひとつなので、シングルハンドボートでは、この方法が得策と考えています。
青物系の臭みがどうのこうのと言っていた家族がピタッと黙り、十分に効果があった証拠だと思います。現実、3日経過後でも刺身の臭みは少なく、晩ご飯はお寿司が続きます。
青物は血の気が多くひと手間必要です。様々な方法がありますが、私にできる最良の方法です。何はともあれ、簡単ですのでお試しください。