ボートの無線
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無線の新ページをUPしました。ご覧ください。
携帯電話は、陸から5海里(約9km)も離れたら、もう心細いです。
普通に利用できるのは、せいぜい3-4海里までと考えることです。
それ以上の沖合での通信手段は、無線しかなく、仲間と交信ができるアマチュア無線機を使用するか、さらに、非常時に海上保安庁の巡視船と連絡が取れる国際VHF無線機を使うか、無線機は大切な通信手段です。
播磨灘では、沿岸エリアや家島諸島周辺は、可住エリアでアンテナ設置も多いので、携帯電話の通信圏内がある程度確保されていますが、沖合のポイントになる鹿ノ瀬方面となると、もう圏外になってしまいます。ですから、鹿ノ瀬で釣りをしている間は、圏外にもかかわらず携帯電話は電波を探し続け、無駄なバッテリー消費をしています。
いつでもどこでもが、当然のように通話できるはずの携帯電話が圏外って、今の生活の中では当てはまりにくく、とても心細いものです。
そこで、海上では無線機の活躍が出てきます。
「BAN」という車でいうところのJAFのような組織があります。日本海洋レジャー安全・振興協会が運営しているボートレスキューサービスで、東京湾から瀬戸内海全域までの太平洋沿岸と日本海の若狭湾沿岸にR.S(レスキューステーション)を配置して、沖合10海里および携帯電話の到達距離内で24時間救助曳航をしますというサービスで、年会費18,000円です。http://www.kairekyo.gr.jp/ban/
レスキューの連絡手段は、携帯電話のみですので、沖に出たら心細いレスキューです。それでも、18,000円云々よりも保険と思って加入していますが、やはりいざという時の心の支えになってくれますが、お世話になるようなことの無いのが一番です。
それでも、電波到達圏内であれば一番有用なのは携帯電話で、海上保安庁118番の普及をアピールしています。これは、救援だけでなく、他船の救助要請や幅広い連絡手段とされています。私もいざっというときに忘れてはいけないので、ボートのキャビン内の見える位置に「118」と表示しています。
無線があれば仲間を呼ぶことができますし、最悪の場合は保安庁に要請を出すことが無線はできます。ただし、保安庁に要請を出せば確実にサポートをしてくれますが、何らかの船長としてのミスをしたわけですから、こってりと油を搾られるのは仕方ないですね。
でも、沖合で大時化になって、エンジン故障となれば、命のやり取りになることは間違いありません。保安庁のアンテナは、かなり感度が高いので受信されるそうです。
しかし、多くのボートで使用されているアマチュア無線では、海上保安庁とは直接交信ができません。アマチュア無線は、あくまでもアマチュア無線であり、業務用ではないので、仲間同士のコミュニケーションとしての手段で、救援は仲間に求めることになりますが、携帯電話よりはるかに広い範囲で交信が可能ですので、使える手段として、手軽なマチュア無線機を装備しておくのは、メリットの大きいことです。仲間と交信ができれば、救援が必要な際は、曳航もしてもらえますし、携帯電話の通信圏内へひとっ走りもしてもらえます。大きな有用性です。
まあ、そのような怖い事態はひとつのケースとして考えて、仲間とのコミュニケーションツールとして楽しく利用ができるのは、無線ならではのものだと思います。電話と違い、仲間が集まってしゃべっているのと同じように、仲間全員で聞ける無線の活用は楽しく大きいです。
写真は、ともに便利なハンディー機で、左がアマチュア無線の50/144/430MHz帯を利用できるアイコム社のIC-T90ですが、残念なことに過去モデルとなってしまいました。右は、同じくアイコム社の国際VHF無線のIC-M36Jで5W出力ですが、固定アンテナを装着すると、よく電波は飛びます。
これらのハンディトランシーバーですが、無線免許が必要で、アマチュア無線では、「第四級アマチュア無線技士」と、国際VHF無線では、「第三級海上特殊無線技士」を最低限取得しなくてはなりませんし、無線局もそれぞれに開局する必要があります。
アマチュア無線機として、ボートで多くが使われる周波数帯の50MHz帯の無線機は、現行販売モデルが少なくなっていて、ハンディー機とモービル機を合わせても4か5機種くらいしか現行モデルはありません。145MHz帯や430MHz帯の現行販売モデルは多いので、最近はそちらを使用されている方々も多いですね。
需要の少ないはずの国際VHF無線は、このようなハンディー機ならばアマチュア無線機よりも低価格で取得できますし、GPS 機能が備わったものまであって、メーカーも機種も選択範囲は広いです。
アマチュア無線での交信の際には、様々なルールが存在していて、例えばコールサインを最初と最後以外に通信中にもコールしなくてはいけませんが、国際VHFにも電波法で管理されていますからルールは存在しますが、もっと簡単です。国際VHF無線のコールサインは船名で、これまた便利ですが、プレジャーボートの使用できる交信チャンネルは、69CH 72CH 73CHの3チャンネルしかないのが、たまにきずです。しかし、まだまだ利用者が少ないですから、ガラガラですね。
それでも、仲間同士ボートで利用するのは国際VHF無線が普及すればと思います。合法的に船名で交信できる国際VHF無線ですから、スムーズな会話の流れで通信ができるでしょう。
周波数帯は、156MHz台から157MHz台と160MHz台から162MHz台を使用していて、送信受信で違う周波数をチャンネルごとに割り振っています。
国際VHF無線について簡単明瞭に説明しているサイトは、小型船舶操縦士試験機関の資料集です。
https://www.jmra.or.jp/information/information-vhf
メインチャンネルの16CHは、すべての本船が受信しています。もちろん保安庁もです。プレジャーボートの呼出応答チャンネルは、77CHですから、16CHと77CHをデュアルで受信しておけば、便利な受信方法となります。また、交信用のプレジャーボートが自由に話せるチャンネルを使用しながら、16CHをモニター受信もできるようになっていますので、使い勝手はあります。
国際VHF無線のチャンネルは次の通りです。
16CHは、呼出応答以外にも保安庁や大阪湾海上交通センターからの情報を受信できます。明石海峡周辺や姫路港周辺が霧で視程が2000m以下になると12CHで霧情報が出ますが、気象や海上交通の情報が随時必要に応じて流れてきます。
このように無線機としての役目と同時に、有用な情報収集機器としても使えるのが、国際VHF無線です。
さて、この国際VHF無線を運用するには、第三級海上特殊無線技士を最低限取得しなくてはいけません。講習+試験の実施が最近は多くなっています。e-ラーニングの講習もできましたので、取得がずいぶん便利になりました。免許取得の難易度は、第4級アマチュア無線技士と同等レベルで丸覚えで取得できます。私も取得の際は、特別な勉強ではなく、講習で聞いたことを、丸覚えが一番効果あります。それでも、興味のある分野ですので、講習を一生懸命に効いていた覚えがあります。
国際VHF無線では、12V電源で据え置き型の出力25W機を使用すると、2級免許が必要で、さらに無線機自体の定期検査も加わりますので、簡単とはいかなくなります。そのため、第三級海上特殊無線技士の資格で運用できる5Wのハンディー機を使用していますが、外海に出るわけではありませんので、播磨灘ならば十分な機能と感じています。
5Wハンディー機でも標準のホイップアンテナを固定アンテナでルーフに設置したら、随分と送受信の改善が見れましたので、今のところ問題はないのです。ひとつだけ、「充電」は面倒。12V電源ではなく、ハンディー機のバッテリー運用のみで、その充電が必要です。いざというときに使えないと困るので、予備バッテリーを備えています。ハンディー機は、水に浮くほどの防水性能を有していることから、電源コネクターなどが、本体外側に存在しないスタイルになっていて、外部電源が使用できないというトレードオフの性能になっています。
アマチュア無線機だと、ハンディー機でも12V電源をアダプター接続ができますが、VHF無線機は、防水性を優先させた結果です。
アマチュア無線機の4級免許でも20W出力で12V電源から供給できるモービル機を使用できるのですから、国際VHF無線機も2級の25Wより、出力を抑えた据え置き型があれば便利だと思います。
このあたりを含めて規制緩和が必要不可欠なことでしょう。規制緩和が先か、普及が先かの話になってきますが、10年くらい前に大きな規制緩和をされました。その時に行政指導もあったのでしょうが、大きく無線機の価格も下がって、免許取得が容易になりました。さらなる規制緩和と低価格な販売がされ普及が進めば、航行の安全に大きくプラスになるでしょう。
アマチュア無線と国際VHF無線どちらもおすすめです。無線機のメリットは、ご理解いただけると思います。どちらも、メリットデメリットが存在していますが、仲間とコミュニケーションが取れるアマチュア無線機から、国際VHF無線がさらに普及すると良いのでしょう。私は、どちらも欠かせないボートの備品です。
海上保安庁HPコンテンツ使用は確認済