ハンディー機を外部アンテナ運用で交信エリア拡大
meikeimaru のボートノウハウ
meikeimaru のボートノウハウ。テーマは、「国際VHF無線ハンディー機に外部アンテナ設置」について。国際VHF無線資格の「第三級海上特殊無線技士」では、5W機しか運用できません。この5Wハンディー機に国際VHF無線専用の外部アンテナを設置して、交信エリアの拡大を行いました。
目次
〇 国際VHF無線とは
〇 海上特殊無線技士資格で扱える無線機
〇 ハンディー機に外部アンテナ取付
〇 交信エリアの拡大
〇 あとがき
国際VHF無線とは
国際VHF無線は、船舶の入出港の連絡、船位通報、航行の安全、遭難通信、外洋でも船舶相互間通信に使用され、船舶安全法により100トン以上の日本船舶に、設置が義務付けられています。
周波数には、チャンネル番号があり、呼出周波数は16CH、このチャンネルで相手局を呼び出します。対象の船舶は、常に16CHを商船から軍艦までがワッチしています。
プレジャーボートのような小型船舶も、この無線の利用は普通にできます。小型船舶では、77CHが呼出チャンネルで、交信は、69 72 73CHを使用。無線局免許状の通信事項は、船舶の航行に関する事項、スポーツ・レジャーに関する事項とされていますので、釣り情報の交換も合法的に行えます。
呼出のコールサインは、「船名」です。運用の資格は、第三級海上特殊無線技士以上が必要です。
- 僚船と、小型船舶用チャンネルで通常会話の交信がができる。
- 緊急時に海上保安庁と交信ができる。
- 大型船と航行のための交信ができる。
海上特殊無線技士資格で扱える無線機
無線は、その資格で空中線電力が決められています。国際VHF無線を扱える資格のひとつが、海上特殊無線技士です。
海上特殊無線技士
1級2級3級とあり、当然3級がハードルが低く、いわゆる養成課程という講習を1日受けて、最後に試験があり取得できます。2級はこれが2日というところです。ボートでは、アマチュア無線を多く使用しますが、同じような内容で取得できます。
第2級と第3級の違いは、無線機の空中線電力の違いで、アマチュア無線と同じです。
第2級は、空中線電力50W以下の無線設備で、第3級は、空中線電力5W以下の無線設備と随分違います。アマチュア無線の4級でも20W機が運用できるのに悩ましいと思います。
国際VHF無線機
現在販売されている技術基準適合証明取得機種の国際VHF無線機は、大きく2種類。
- 固定型無線機 送信出力 25W
- ハンディー型無線機 送信出力 5W
ということで、自ずから第3級海上特殊無線技士免許では、5Wのハンディー機を使用することになります。
25Wの固定機は、5年ごとに定期検査なるものが必要です。
ハンディー機に外部アンテナ取付
私は、第3級海上特殊無線技士の免許ですので、5W機しか運用できません。
航行エリアが、外洋ではなく播磨灘という海域だけですので、十分だと考え、1日の講習で免許取得ができ、定期検査不要のハンディー機というお気軽設定です。
十分とは言うものの、短いホイップアンテナの交信距離は知れていますので、ルーフにアマチュア無線と同等のアンテナを設置しました。
外部アンテナ設置
国際VHF無線のアンテナも無線機同様に、無線ショップや通販で購入ができます。
3m近い長いアンテナから120cm程度の軽量タイプがあり、後者の小型軽量のアンテナを設置しました。
私の機種、ICOM IC-M36J。ホイップアンテナを取り外し、それに AD-98FSC というアダプターを使うとBNC規格のコネクターと接続ができます。これにより、アマチュア無線機と同じようにアンテナが使えます。
周波数帯が、156MHz周辺ですので、扱いやすいアンテナです。
スピーカーマイク
純正オプションの防水形スピーカーマイクロホンHM-165を接続。
アンテナケーブルあるので、本体を固定したため、スピーカーマイクを接続して交信をします。このマイクは、防水のためホイップアンテナに戻し、濡れるようなデッキでも使用できますので便利です。
交信エリアの拡大
交信距離がどのくらい改善されたかは、遠距離へ送信をしていないので不明。
5W出力で外部固定アンテナだと10-30kmと言われています。アンテナが大きくなり、高い位置に取り付けるのは効果が大きいでしょう。
受信は、明石海峡周辺の交信を30km離れた高砂沖で普通に受信できていますので、ホイップアンテナから比較すると大きく改善しています。
あとがき
何と言っても、国際VHF無線の良さは、ボートなどの専用チャンネルで、「船名」のコールサインで交信ができることでしょう。
また、携帯電話の圏外エリアでの緊急時に海上保安庁と交信ができるのは大きいです。播磨灘の限定沿海エリア外は、ほぼ携帯電話の圏外でもあります。そこでエンジントラブルに見舞われたら、僚船がいればアマ無線で救援を願えますが、それもなければ、保安庁だけが頼りです。
国際VHF無線は、船舶のための無線システムです。
少々頼んない、ホイップアンテナを固定アンテナ接続で、交信性能が向上します。これも、いざという時の備えです。