船に溜まる液体、ビルジは不安材料の塊
meikeimaruのボートメンテナンス
ボートの船底に溜まる不要な液体の正体は、海水、雨水、洗艇の際の水、トイレの水、さらにはエンジン関連のオイルや冷却水といろいろですが、今回の失敗を船外機エンジンボートで説明します。
ボートは、水が入らない構造になっていますが、何らかで艇体に入った液体は、意図的に出さない限り消えません。これがビルジと呼ばれる、不要な溜まった液体です。
船外機艇の場合、エンジンは艇体の外側に設置されているので、エンジン冷却水となる海水も艇体には入らない構造です。多くは雨水です。
今回、スターンロッカー(船尾物置)内に置いてあるトレーに水がたっぷりと溜まってました。明らかにハッチからの水漏れが疑われました。最終的に、図示の3ブロックの船底に20Lは溜まってました。
点検は、各隔壁内1-4のブロック(下記図)に点検用のインスペクションハッチがありますので、開いて船底の状態を見れば済むのですが、3ブロックだけは、燃料タンクがあり直接見えないのです。
ビルジ発生の可能性
1ブロック (上記区分図の1の部分)
ここは、バウカディー(船首小部屋)の下です。
- ガンネルのFRP艇体の接合部分からの水漏れ。海水、雨水、洗艇の水すべて。(ガンネルとは、艇体の上部構造物と、艇体の下部構造物の接続部分で、タッパーケースのふたの部分と似ている。)
- アンカーロッカー内からの水漏れ。海水、雨水、洗艇の水すべて。
バウカディーの床の下にロッカーがあり、そこに点検用インスペクションハッチがあるので、洗艇キール部分が直視できる。
2ブロック
ここは、キャビンの下になります。ヘッド(トイレ)もこの区画です。
- ガンネルのFRP艇体の接合部分からの水漏れ。海水、雨水、洗艇の水すべて。
- トイレ本体や吸水口排水口からの漏水。海水プラスアルファー。
- 窓サッシの隙間。雨水、洗艇の水。
キャビンの出入り口付近に点検用インスペクションハッチがあるので、洗艇キール部分が直視できる。
3ブロック
ここは、一番水を使う場所。
洗艇すれば水でゴシゴシ、雨は床に降る。スターンロッカー(船尾物置)は、フタとなるハッチから雨水などが漏れれば大きな開口部だけに深刻です。さらに釣りをしている時は絶えず海水で濡れていますし、魚も締めます。巨大な海水タンクのイケスが、燃料タンクの横に設置されています。一番怖い場所です。
- ガンネルのFRP艇体の接合部分からの水漏れ。海水、雨水、洗艇の水すべて。
- デッキ(本当の呼称はコックピット)床面からの漏水。
- イケススカッパーからの漏水。または、イケス上部からの漏水。
- スターンロッカーのハッチからの漏水。雨水、洗艇の水すべて。今回はこれでした。
一番危ない場所が、燃料タンクがあり、船底を直視の点検ができない構造になっている。ある程度は予測していましたので、危機管理的にここには揚水型のビルジポンプを手動スイッチで設置していました。(後述)
4ブロック
ここは、海水をかぶる場所ですが、上架すれば簡単にドレンプラグが抜ける場所です。
- ガンネルのFRP艇体の接合部分からの水漏れ。海水、雨水、洗艇の水すべて。
- モータウェルのインスペクションハッチの漏水。
- 船外機都立部からの漏水。
船外機取付部分のモータウェルには、点検用インスペクションハッチがあるので、洗艇キール部分が直視できる。上架時は、ドレンプラグが外すことができる。
ビルジは、ドレンコックだけでは排出しない
それぞれの隔壁内に溜まった水は、隔壁のドレンコックを外せば、船尾のドレンプラグから出るものと思っていましたが、これは間違いでした。
船底から10cmくらいの高さにドレンはついていて、プラグを外しても、それ以上の高さにビルジの液面が達した分だけ出る構造です。
それ以下の液体は後部ドレンから排出はしません。たった10㎝以下の液面であっても、今回のように20L以上も溜まっていますので、厄介なことです。
このボート購入時より、この第3ブロックは、雨ざらしですし、イケスもあり、疑いの目で見ていました。揚水型のビルジポンプを所持していましたので、ここに念のために取り付けていました。過去何回か疑いをかけてスイッチを入れたことがありましたが、常に空転でした。
ところが今回は、スイッチを入れた瞬間から水をつかみ、大量の水を排出しました。これには、びっくりです。
今回のビルジが溜まった原因
- スターンロッカーの真ん中のハッチにウッドデッキ風に木を貼りつけましたが、この木を止めるタッピングビス(4mm)が、1本抜けてこの穴から雨水が入りました。
- その期間、台風通過の大雨、秋雨前線の雨が続きました。よりによって、とんでもな時期だったのです。
- 8/30に帰港後、このビスが外れたのはわかっていましたが、しっかりと止め直そうと、次回にドリルを持ってきて作業をしようとこの日は見送り。そうしたら、台風に雨続きでボートに来たのは2週間後。そこで、発見。
- 原因が最初はわからずでしたが、このネジ穴にたどり着きました。バカをしました。反省です。記録的な降雨量の9月でした。
- 例え、1分間に10ccでも1時間ならば600cc。これが30時間あれば、20L 近くになります。これが原因です。
4mmのビス穴の場所は、よくよく見ると雨水の通り道です。それがわからなかったことが不覚で、疎かにできないです。しっかりと、シーリングして接着完了させました。
溜まったビルジの排出方法
そもそも少量であろうと、水が溜まっていることが気に入りません。大方は、ビルジポンプで排出させたので、問題はありませんが、やはり、気になります。
- 再度、ビルジポンプのホースの位置を替えながら、排水。
- 手動の給油ポンプ(灯油ポンプのような)で、排水。
- 電動、手動でもポンプの排水には限界があり、問題がない水のレベルなれど気に入りません。
- ホースの先にタオルを強く固定して、これを燃料タンクの隙間から入れて、タオルに吸水させます。
- これが、大正解。手間はかかりましたが、最後はタオルが濡れないほどに除去できました。
- このタオルで、30回分くらいの水を吸い取りましたので、バケツ1杯は吸水したでしょう。
- ホースは、押したり引いたり、ねじりまわしたりで、柔らかく左右上下にタオルを動かし、吸水をして完了です。こんな単純な道具ですが、今後も何かの役に立ちそうです。
4mmのビス穴と秋の長雨で、大きなミスをしましたが、ビルジを考える機会になりました。オフシーズンに対策を施します。
このオフシーズンの対策
- すべての隔壁ブロックの点検のインターバルを短縮。
- 船齢を鑑み、ガンネルを貼り替えと同時に、シーリングを施工を近年計画。
- ヘッド(トイレ)吸水口排水口と、イケススカッパーのプロによる点検作業依頼。
- その他防水部分のプロによる点検作業依頼。
いかがでしょうか。再度、ビルジ防止のシーリングの重要性です。今回は、原因が早めに特定できましたが、なかなか特定できずに、気持ちのすっきりしないことも想像できます。
どうやら、ネジのシールや、その他シーリングが施されている部分の日頃からの点検やメンテナンスは、早いに越したことなさそうです。
ぜひ、ご参考にしてください。