船外機の運用は常に過酷な環境下
meikeimaru のボートメンテナンス
meikeimaru のボートメンテナンス。テーマは、「船外機のシビアコンディション」
一般的な使用条件より過酷な条件での使用をシビアコンディションと言い、自動車の場合は、ストップ&ゴーを繰り返すような渋滞や、エンジンやオイルが充分に温まらない状態の低速や短距離の走行を言うそうですが、大都会や住宅地域での買い物に使う車は、全てのような表現です。
では、船外機のシビアコンディションとは、どのようなものなのでしょうか。
目次
〇 シビアコンディションとは
〇 船外機のシビアコンディションはどの状況か
〇 シビアな環境での働き者
〇 あとがき
シビアコンディションとは
想定されている一般的な使用条件よりも厳しい使用条件で運用するものをシビアコンディションと、平坦路での走行や、一定速度の走行を想定した標準的な使用に比べて、シビアコンディション(クルマにとってより厳しい使用状況)の場合には、部品やオイルなどの劣化が早まることがと、自動車の取扱説明書には書かれています。
走行距離が多い、走行距離が短い、低速走行が多いなどなど、渋滞の多い都市部での短距離のみの使用や近所への買い物が中心といった使い方だそうで、地方都市以外の車はすべて当てはまりそうです。随分と玉虫色です。
船外機のシビアコンディションはどの状況か
船外機の運用環境は、自動車とは比較にならないほど過酷です。そんな環境で運用されると想定されていて、それでのシビアコンディションはどのようなものでしょうか。
取扱説明書によると
ヤマハF115Aの取扱説明書には次のように記載されていました。
- 長時間にわたり、船外機を最大回転数(r/min) またはそれに近い回転数で継続して運転した場合
- 長時間にわたり、船外機を低い回転数(r/min) で継続して運転した場合
- 十分な暖機を行わず、また十分に冷やさないでエンジンを停止した場合
- 急加速と急減速を頻繁に行った場合
- シフト操作を頻繁に行った場合
- エンジンの始動と停止を頻繁に行った場合
- 積載物を軽い状態と重い状態とに頻繁に変化させて、運転した場合
通常のメンテナンスサイクルよりも早いサイクルで整備を行う必要があります。当社は、整備手帳に定めた整備の周期に対し、その1/2 の間隔で整備を行うようにお客様に勧告致します。
それぞれの航行条件で違ってくるでしょうし、用途でも釣りとウェイクでは大きく違うでしょう。
私の場合、釣り場への航行、その巡行回転数は、4000rpm前後。MAX5500rpmのエンジンなれど4500rpm以上になることはまずありません。該当するのは、「低い回転数アイドリングが長い」「シフト操作が多い」というようなところです。
釣りに使用する普通の船外機艇では、こんなところでしょう。
本音のところ、このような記載があると、少しは気になるものです。
ベテランメカニックによると
高回転で負荷かけて走れば、エンジンに対して過酷でしょう。普通に理解できます。しかし、低回転アイドリングが、なぜにシビアコンディションなのという疑問がありました。エンジンが静かに回っているだけだから、アイドリングが多ければオイル交換時期を伸ばしても良いようなものと思ったのですが、これは大きな間違いでした。
ベテランメカニックに聞くと、「高回転の連続や加減速で負荷をかけるのが、一番過酷な条件。次に悪いのが、アイドリング。」と言うことでした。アイドリング状態では、ピストンがシリンダー内の僅かな隙間で動く現象が一番大きく、ピストンとシリンダーのダメージが出ると説明されました。なるほど低回転ならではの現象ですね。
ウェイクボートは、かなり負荷をかけるし、確実にシビアコンディション。
釣りのボートは、シビアコンディションではないが、メーカーのオイル交換タイミングは、やはり推奨だそうです。
シビアな環境での働き者
私は、基本的にオイル交換などは、メーカーの交換タイミングで実施しています。働き者の油脂類、オイルにグリスが船外機を守っています。
エンジンオイル
年間300時間の稼働ですから、オイル交換3回。これで、3000時間トラブルフリーで動いてくれれば、かえって低コストの維持費です。オイルポンプを使えば簡単に交換できます。
ギアオイル
メーカー値の100時間では、さすがに飴色のまま。しかし、1年も使ったものを見ると、かなりの黒っぽい色に変化しています。クラッチやギアの鉄粉です。良い状態でないのがわかります。
釣り場では、潮に同調させるために前後進を繰り返しますが、急激な操作を避け、前後進を切り替える時も「123」と数え「間」を置くことで、ギアなどの負荷も大きく減るそうです。
「ガキーン」はダメです。
グリス
グリスガンで短時間でできるので、オイル交換と同じタイミングです。これで、塩から守られます。
あとがき
アイドリングがそんなに負荷がかかるとは思わないものです。しかし、これは間違いない話でした。
最高速度で走ったり、急な加減速を繰り返したりがなければ、シビア時にしないながらも、前述のとおり、メーカーの点検交換推奨タイミングは、早いと思うこともありますが、適切と理解して、高負荷がそれほど多くない釣りボートは、標準値でメーカーのタイミングを遅らせることなく実施することが一番です。これが10年3000時間クリアの最善策です。
純正オイルもグリスも通販のセールを利用すればリーズナブルに購入できますので、在庫をもって適時実施するのが最良です。