船外機の定期的オイル交換は寿命を長くする
meikeimaruのボートメンテナンス
YAMAHAのマニュアルでは、船外機のエンジンオイルの交換は100時間単位となっていて、オイルエレメントは200時間単位と、結構早いタイミングです。
車と違って、ボートのエンジンは、高速道路の上り坂を2速高回転で走っているような負荷がかかって、吸気の空気にはかなり多くの塩分が含まれているような過酷な使用環境では、メーカー推奨、船外機のメンテは早めの交換タイミングのようです。
車の走行距離から見ると、100時間で10,000km相当と考えて、1,000時間で100,000km走行と同じようなものだと、マリーナで教わりました。確かに、タイミングベルトは、1,000時間での交換をメーカー指定ですから車の100,000km相当となるようです。
機械ものの潤滑油は、非常に大事なもので、エンジンオイルを定期的に交換して、無茶な過回転をしなければ、エンジンの寿命は大きく延びます。
エンジンオイルの交換以外に、もうひとつ、ギアオイルの交換が船外機は必要です。
船外機には、クラッチがありません。前進、中立、後進のギアを直接切り替えしているようなものです。当然ながら、ギアには負担がかかっていて、それを緩和させるのがギアオイルの役目ですから、定期的な交換が必要です。
目次
○ ギアオイルの交換
○ 作業の仕上げ
エンジンオイルの交換
エンジンオイルを抜きます。 ドレンプラグで抜く方法もありますが、4Lの廃油を1mくらいの高さの位置で受ける作業になりますので、通常はオイルポンプで交換をしています。このポンプを利用すると、係留中のボートでも交換がスムーズにできます。
オイルポンプのレバーを20回程度上下にすると、バキューム圧でオイルを吸い込んでくれます。
4.5Lまで廃油タンクに吸引しますので、私のF115ならば1回でOKです。
空気を吸うようなズズズーッという音が出れば、完了です。
オイルエレメントの交換
オイルエレメントを交換します。エレメントの下部にウェスを置き、エレメントから漏れる廃油を受けます。
新しいオイルエレメントにオーリンググリスが塗ってあればオーリング全体に伸ばします。ついていなければ、エンジンオイルを塗付します。
新しいオイルエレメントを手で絞めつけ、手でギュッと締めるか、エレメントが面についた時点から、レンチで1/4回転締めこんでください。
ギアオイルの交換
ギアオイルを抜くためにドレンプラグを外す。まず、上側から緩めておく。
次に、下側のドレンプラグを外して、上のドレンプラグを外すと、オイルが出てくる。
下側のドレンプラグは、磁石になっていますので、金属粉をウェスでふき取りますが、金属粉は通常生じます。しかし金属片があれば異常なので、プロのチェックが必要です。
マイナスドライバー刃幅9mm前後くらいを使用しますが、締め付けが固い場合はレンチを使い回します。ドライバーを持つ手は、思い切り押し付けて、片方の手で、レンチを回してください。
チルト角度を変えて、オイルを出し切ります。この廃油が、白く濁りがある場合は水の混入が考えられますので、オイルシール等の修理となります。
ガスケットは、上側下側ともに交換をします。締め付け時に変形させて密着度出していますので、再利用はできません。磁石がついているプラグ(写真右)が下側です。
ギアオイルのチューブの先端に、ノズルを取り付けて、下側のドレンに差し込み、ゆっくりとオイルを注入します。結構時間がかかりますので、気長に丁寧に作業をしてください。
ギアオイルの規定量を調べておいてください。1本で不足になる場合は、2本目を予めすぐに交換ができるように準備しておいてください。ギアオイルは、規定量以上に用意しておきましょう。注入の際にあふれさせることが必要ですので、規定量以上に必要です。
規定量注入されると、上側のドレンからオイルが出てきますので、チューブを挿入した状態で、上側のドレンプラグを手で締めていき、ドライバーで仮締めします。
チューブのノズルを抜くと同時に、下側のドレンプラグを取り付け、手で締めていき、ドライバーで仮締めします。
ドライバーで本締めを上側下側ともにします。レンチを使用する際は、ガスケットを傷めないように適度に締め付けます。ドライバーを押す力が60%、回す力は40%でしっかりと押さえないと、プラグの溝を破損させます。
ギアケース周りのオイルをパーツクリーナーで取り除きます。
注意事項
- ギアオイルの交換は、難しくはありませんが面倒な手順が多く、チューブのオイル量が1回で不足の場合のために、傍らに次の交換用を置いておき、ドレンに指をあて漏れないようにして、間髪入れずチューブを交換しないと、注入したオイルが出てしまいます。上側のドレンを閉めることで、多少はオイルの出かたが緩くなります。
- ドレンプラグは、ガスケットを入れて、上側下側のプラグがわかるように置いて、準備を予めしておきます。上側のプラグは、普通に締められますが、片手の作業です。もう一方の手は、チューブを持っています。下側のプラグの締め込みも片手で、チューブを抜いたのと同時にオイルが漏れないうちに素早く取り付けなくてなりません。
準備万端にして実施しましょう。
作業の仕上げ
最後に、エンジンをかけて、オイルエレメントの周囲などでオイル漏れがないかをチェックします。そして、エンジン停止後3-4分経過したら、オイル量が適切かを再度チェックして、問題が無ければ終了です。
廃油処理は、ホームセンターなどで市販されている廃油処理箱に入れて、家庭ごみ(燃えるゴミ)で出しています。
市役所で確認すると、教えてくれます。明石市は、自家用で市販の廃油処理箱を使用していれば、普通に回収されます。
必要なパーツと工具
必要なパーツ
- エンジンオイル規定量(取扱説明書参照)
- エンジンオイルエレメント
- ギアオイル規定量+α(取扱説明書参照)
- ギアオイルドレンプラグガスケット 2枚
- ドレンプラグは、予備で一対常備すると安心。
- エンジンオイルをドレンプラグから抜く場合は、ガスケット1枚が必要
- 廃油処理箱(エンジンオイルとギアオイルの合計量)
必要な工具
- オイルポンプ(ドレンからの場合は不要)
- オイル受け皿(コンテナ等でOK)
- オイルジョッキ
- オイルエレメントレンチ 1式
- マイナスドライバー刃幅9mm前後
- ドライバー用スパナかモンキーレンチ
- ウェス多め
- 下に敷くシート どうしてもオイルがこぼれるので、床の汚れ防止用
- その他、普通の簡単な工具一式は、揃えておきます。
年3回だと、5月、8月、11月 まあ、こんなタイミングで実施していますが、1日メンテナンスの日として、グリスアップと併せて行います。時化で出れなく、天気の良い日の作業は、これもボートの海遊びで、なかなか楽しいです。
交換後の航海は、気持ちの良くて、エンジンがスムーズに回り、音も静かになったようです。軽快な走りをなさってください。