船外機エンジンのグリスアップ

船外機を海水から守るグリスアップは必須項目

 meikeimaruのボートメンテナンス

船外機のグリスアップは、エンジンをチルトアップ動作で上下に動かす部分と、方向を変えるための左右に回す部分のグリスの交換になり、さらには、船体側に取り付けられている、船外機を左右に回すステアリング油圧操舵機のメンテも含めて作業をします。

すべてが、船外機エンジンの外側に取り付けられている部分で、常に海水にさらされている過酷な機器です。可動部分でありながら、航行中は海水で濡れていて、係留中はそれが乾燥しますので、機械には厳しい環境です。

可動部分がグリスで満たされるようにする

可動部分がグリスで満たされるようにする

 グリスアップの効果

  • 可動部の摩耗や削れなどを防止。
  • 船外機エンジンと船体の取り付け部分で、骨格の支点を保護。
  • 船舵操作という最重要な機器の構成部分のひとつを保護。
  • 可動部分の摩擦を少なくするための潤滑油。
  • グリスが不足すると、その部分に海水が入り塩分で固着する。
  • グリスアップの結果、可動部分の寿命を延ばし、船外機そのものの寿命を延ばす。

人でいうと、関節部分の軟骨や筋等に支障をきたさない様にするのがグリスアップで、地味なメンテナンス作業ですが、重要です。

グリスが行き渡るとはみ出してくる

グリスが行き渡るとはみ出してくる

この作業、グリスアップは、メーカー値では100時間ごとが指定されていますので、オイル交換の時に合わせて作業をすると、間違いがありません。古いグリスが押し出され、白濁したグリスや水分が出てくると、グリスアップの価値観が見えてきます。100時間未満でも1年1回は絶対に必要な作業です。慣れると短時間で作業ができ、簡単に完了します。

 グリスアップ メンテナンスに必要なもの

  • グリスガン (耐水グリスのチューブが取り付けられる ガントリガー式 写真参照)
  • 耐水グリス メーカー純正(私はヤマハなので、ヤマハ純正耐水グリースAを使用)
  • ウェス
  • 船外機取扱説明書

 グリスアップを始めます

 船外機取扱説明書で給脂箇所を確認

取扱説明書の点検整備の項目にグリス給脂箇所の図示説明があります。まず、ご覧ください。
メーカーのサイトからダウンロードもできますので入手してください。

型式ごとに、微妙に給脂のニップルの位置が違いますので、ご自分の船外機型式に合致したニップルの場所を確認してください。ダウンロードしたページをプリントアウトさせておくと、メモやマークを入れられますので、便利です。

船外機取扱説明書給脂箇所

船外機取扱説明書給脂箇所

図示された給脂箇所を船外機実物で発見してください。チルトアップさせないと見つけられない場所や、ステアリングを左右どちらかに切る必要のある場所など、宝探しみたいな感じですが、見つけるのに一苦労します。

海上係留艇の場合は、アクロバットな姿勢になるやもしれませんが、大事な作業です。最初は、なかなか見つけられなくても不思議ではありません。あれっこんなところにという感じです。

グリスニップルは見えないようなところにある

グリスニップルは見えないようなところにある

発見して確認した、グリスニップル(給脂箇所)に1か所毎にグリスアップを開始です。

グリスニップルにグリスガンのアダプターを接続

グリスニップルにグリスガンのアダプターを接続

 グリスアップ開始

グリスガンにグリスチューブを取り付けて、グリスガンのポンプが吸い込むまで、チューブを押しながらトリガーを何回か押さえてください。

ノズルよりグリスが出るようになれば、作業開始です。私はヤマハエンジンのため「ヤマハ純正耐水グリースA」を使用。

グリスガンとヤマハAグリス

グリスガンとヤマハAグリス

ノズル先端をニップルに押し込み、トリガーを搾ります。トリガーにグリス注入の抵抗感があれば、注入されています。作業中は、ノズル先端が外れやすいので、手でノズルをニップルに押し当てながら注入をしてください。

グリスガンで給脂

グリスガンで給脂

ニップルの周囲、上下左右を確認してください。どこからか古いグリスが出ているはずです。新しいグリスに押されて、古いグリスが押し出されます。

給脂すると古いグリスが出てくる

給脂すると古いグリスが出てくる

古いグリスが白濁していれば、水を含んでいます。それを出し切って、黄土色のグリスが出たらOKです。途中で、古いグリスをウェスで拭き取り、新しいグリスが出たところで止めておき、新しいグリスは、余程はみ出していない限りそのままでOKです。

グリスで汚れたらふき取る

グリスで汚れたらふき取る

古いグリスが出る時に、海水などの水分が出てきますし、白濁したグリスは水分が含まれています。これにより、海水を押し出し、グリスを充填させることが大事なポイントです。

グリスを充填している時に、グズズズッというような音がする場合は、必ず水が入っています。少し多めにグリスを充填して、水を出し切ってください。

狭い箇所はアダプターの接続が厄介

狭い箇所はアダプターの接続が厄介

このグリス充填のグリスアップをすべてのニップルに対して実施してください。図示に消込をしていくと、間違いがありません。

 グリスガン接続には船外機を左右上下に動かして探る

グリスガンのノズルが接続できないような箇所が出てきます。その場合は、知恵の輪のように考えて、船外機をチルトアップさせるか、ステアリングを切ることで必ず解決します。大きくチルトアップさせた奥にもありますので、最後まで丁寧に実施してください。

ステアリング部分は舵を切って接続させる

ステアリング部分は舵を切って接続させる

古いグリスや、グリスガンを触ることにより、手にたくさんのグリスが付きますので、ウェスはたくさん用意しておき、手を拭きながら作業をしませんと、手を滑らせ、思わぬケガをしますので、注意をしてください。

マークしたグリスニップルすべてに重点ができれば、ニップルへの作業は完了です。

 最後に

ステアリング油圧シリンダーのシャフトにも薄くグリスを塗付します。
チルトアップして、チルト油圧シリンダーのシャフトも同様に、薄くグリスを塗付して、シャフト先端の船外機との接点部分にもグリスを塗ってください。

トリム、チルトポンプ付近もグリス塗付

トリム、チルトポンプ付近もグリス塗付

今回の船外機のグリスアップ作業は、これで終了です。

グリスアップの箇所以外にも、様々な給脂を必要とするところがあります。キャビンの中からハッチの蝶番まで含めて、可動部分は給脂が必要ですが、それらはグリスではなく、「CRC6-66」はマリン用で、潤滑剤が水の下に入るようになっていますので、用途として抜群です。

CRC666はボートの必需品

CRC666はボートの必需品

もうひとつは、昔ながらのオイラー。中身は、エンジンオイルです。ワイヤー部分などには、浸透していきますので便利に使え、塩噛み防止になります。なんと言っても、海水相手のボートの可動部分ですから、手を抜くとしっぺ返しをされますので、ご注意なさってください。

オイラーが結構便利

オイラーが結構便利

メンテナンス作業をしていると、ボルトが緩んでいたり、何かが外れていたりと目的以外の不具合を発見することがあります。これも、メンテンナスを行うメリットで、機械部分に触れていくことがボートの耐久性と信頼感を大きくします。ぜひ、グリスアップを定期的に行い、メンテナンスのスキルアップをなさってください。

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