落水者(MOB)救出から生まれた反転操舵方法
meikeimaruのボートノウハウ
ボートを現進路から反転させて、現針路+180度で現在地点に戻す操船方法が「ウイリアムソン・ターン」です。
ポイント周辺の魚の反応を魚探を見ながら操船していたとします。素晴らしい反応が出て、中型サイズのアジの群れを見つけました。または、磯の上にメバルらしき反応を見つけました。
当然、魚探の反応が出たのですからボートはその地点を過ぎ去ったことになりますが、もう一度そのポイントの上にボートを持っていきたい、GPS 頼りをしてもなかなか思うようにいきません。海面に何もマークが無いので、容易ではないです。
しかし、この「ウイリアムソン・ターン」で反転操舵を行うと、そのポイント上に戻ってきます。
もともとは、MOB落水者(Man overboard)の捜索救出方法ですが、釣りの時の操船方法として便利です。
ウイリアムソン・ターン
針路を図り進路を決めます。この際、ワンテンポ遅れるGPSの針路より、コンパスを見て操船をする方が容易です。
魚探でポイントを発見したら、現針路を記録(メモする)して、操舵を準備。針路は覚えても良いですが、あとで、60度プラスマイナスしたり、180度プラスマイナスをしなくてはならないので、暗算がとろい私はメモします。
右(stbd side)に転舵する。適示の舵角でOKで、ラット半回転から1/4くらいでします。この間、旋回中は一定舵角です。
最初の針路プラス60度になった時点で、舵を戻し(center)、間を置かず、左(port side)に同じ舵角(右転舵と同じ)を与えて左転舵をします。この間、旋回中は一定舵角です。
ボートは、大きく左旋回をして行きます。
元針路プラス180度の反転針路になったら舵を中央に戻し(center)コースを維持する。
反転針路に戻す際にふらつかないようにプラス180度以前で準備をするのが重要。
これで、先ほどのポイントの上へボートは行きます。
by Pixabay
漁礁や磯があるところで実際に行ってみてください。面白いように当たり前ながら反転針路となり、ポイントの上に出ます。
速度は、舵が良く効き、直進性等を保てる速度でゆっくりと行ってみてください。
何回か実際に操船してみると、コツがわかりますので、お試しください。
この時の魚探周波数は、高周波の(200KHz)を使用してください。低周波(50KHz)だと探索範囲が広くなりますので、位置のずれが予測されます。高周波と低周波を並列表示させておけば万全です。
目視と音響探査だけで、駆逐艦が潜水艦に爆雷投下をした時代に、この操舵があったと聞いています。映画「眼下の敵」がこれです。
こちらは、爆雷投下ではなく、戻ってきて、サビキ仕掛け投下です。これで、仕掛けがタナに入る間をとり、魚探の端っこに磯と魚の反応が出てきて、次の瞬間、サオにアタリが出たら、手前船頭のボート釣りほど面白い遊びはないと本気で思うものです。
落水者(MOB)対応
この反転操舵は、現在では(MOB)落水者の救出の操船のひとつです。
落水者は、頭ぐらいしか水面に出ていない場合が多く、波気のある海だと波に隠れることも多く、発見が思うより困難な場合が予測されます。頭の大きさは、漁師の漁のブイより小さく黒色です。
落水者発生
- 落水者発生がわかれば、即、GPS の MOBボタンか、マークの入力ボタンを押してGPSに記録します。
- この時慌てて、後進(astern)全力はたいへん危険です。落水者にプロペラを当てる可能性があります。
- 現針路を把握と同時に、右(左)側落水ならば、右(左)転舵。落水者側に転舵します。
- このウイリアムソンターンで転舵をして、元の反転針路に戻し、捜索救出をします。
- ライフジャケット着用ならば、ロープを投げれば解決するでしょう。
- ライフジャケット未着用や膨張しないライフジャケットの場合は、飛び込んで助けるのはかなり危険ですので、救命浮環や浮くものなんでも(クーラーBOX等)にロープを結び投下します。この場合、落水者は相当に興奮していますので、お気を付けください。
- 落水者引き上げの際には、時化でなければ万一を考え、エンジン停止です。
この様な、いざという時の操舵方法でもあり、便利ですので、ご活用ください。