マチュア無線と国際VHF無線それぞれの便利さを検証
meikeimaru のボートノウハウ
meikeimaru のボートノウハウ。テーマは、「ボートで使いやすい無線」について。僚船とのコミュニケーションツールとして、また緊急時、海の上にいる限り、その船の上ですべてを解決しなくてはなりません。通信手段は一般的な携帯電話と無線です。
自己解決ができないときに、外部との連絡は限られていますが、その連絡手段について考えます。
目次
〇 無線機が必要
〇 ボートで使いやすい無線
〇 アマチュア無線
○ 国際VHF無線
○ 無線使用時の注意
〇 あとがき
無線機が必要
通常連絡のための通信手段の代表は携帯電話です。地上では山中以外は、ほぼ利用ができて、何の不自由もない状況を作っていますが、海上では携帯電話の中継基地が存在せず、無線の必要性が高くなります。
無線の便利さ
携帯電話と比較すると、マイクを持って喋れば、僚船と通信ができるのは、たいへん便利で、仲間が多い時に一斉に情報交換ができる利便性は、無線ならではです。
ボートに無線機は、釣りの情報交換には欠かせないものでしょうか。
携帯電話の通信圏内の狭さ
沿岸から8km以上離れると携帯電話の通信圏外に近づき、9km以上だとほぼ通信圏外です。例えば、明石沖の釣りポイント鹿の瀬中央から西部は、目前の船とも携帯電話では通信ができません。
電話機は、電波を必死に探して捉えようと電池を消耗させているだけです。
5km以上陸地を離れると、携帯電話は不安になり始めると思うのが無難です。そこで、無線機の必要性が出ます。
無線の通信距離
無線の通信距離は、meikeimaruのようなボートのアンテナからでも通常20-30kmはあります。播磨灘では、十分な距離です。そして、自ら電波を発するので、自位置を起点に通信ができる点が、携帯電話と大きく違います。
ボートで使いやすい無線
資格免許不要
資格や免許不要の誰でもが使える無線機で、特定小電力トランシーバーと、デジタルコミュニティー無線トランシーバーなどです。
免許不要であるがために、出力がたいへん弱く通信距離が短く、ボートで使うには多くの場合不向きです。
有資格者免許必要
一般的には、アマチュア無線と国際VHF無線です。
ともに、比較的に容易に資格を取得して免許交付の上、無線局の登録をして運用しますが、機種も多く通信手段として最適な無線です。
アマチュア無線
King of Hoby と言われる世界共通のアマチュア無線。豊富な機種や使いやすさから、多くのプレジャーボートで利用されています。
資格免許取得 無線局登録
無線従事者の資格が必要で、第1級アマチュア無線技士から4級までありますが、ボートで使う場合は4級で十分です。
養成課程講習会(2日間)を受講して最後の試験をクリアすればOKです。免許を取得して、無線局の登録をするとコールサインが発行され、運用可能です。
無線機等々
多くのメーカーが販売していて、ハンディー機から自動車搭載用のモービル機まで多彩です。また、中古機も多く流通しています。
ただし、アンテナはFRP製の船体にアースができないので、その配慮が必要です。本体もアンテナも機種豊富。
メリット
- 免許取得の講習会も多く開催され、取得が便利で、始めるためのハードルは低い。
- 正しい運用ルールで更新する限り、僚船との交信は、マイクを持てば話せ、手軽で便利。
- 海上どこでも電波が相手に届く限り、どこでも交信ができる。
デメリット
- コールサインのJA3***で必ず交信をしなくてはならず、船名などを代わりに使うことは法律違反。
- 仲間同士の交信は問題なくできるものの、緊急時の海上保安庁との交信はできない。
- まず100%交信内容は、あらゆる局がワッチしている。
アマチュア無線については、日本アマチュア無線連盟を参考ください。
国際VHF無線
船舶専用の無線で、国際VHF無線があります。商船から軍艦までこの無線の16CHはワッチされていて、通信が可能です。我々プレジャーボートも普通に利用可能な国際レベルの無線です。プレジャーボート用のチャンネルも設定されています。
資格免許取得 無線局登録
第三級海上特殊無線技士(三海特)の資格取得で免許交付されます。その後、船名で無線局の登録をします。
日本無線協会等が行う第三級海上特殊無線技士養成課程講習会(1日間)を受講して、最後の試験をクリアすればOKです。
無線機等々
無線機は、送信出力5Wのハンディータイプと20Wの固定機がありますが、三海特の資格では、出力5Wまでです。固定機の出力20Wを必要とするならば、第二級海上特殊無線技士の資格が必要になります。また、20W機は、定期検査も必要です。播磨灘で使用するならば、ハンディー機の5Wでカバーできます。外部アンテナを使用すれば、20km以上は飛びます。
価格は、ハンディー機 固定機ともに、アマチュア無線機と同等です。
ハンディー機の防水機能は、さすがにマリングレードで「あいたっ!」はありません。
メリット
- プレジャーボートと沿岸漁船以外は、無線機の設置と16CHのワッチが世界的に法律化されていて、すべてと交信可能。
- 海上保安庁基地局及び巡視船との交信が、必要ならば普通に可能。
- 船名が無線局名で正式なコールサインとなる。私は、「めいけいまる」です。
- プレジャーボート用チャンネル(69,72,73CH)を使用して交信する。
- 正しい運用ルールで更新する限り、僚船との交信は、マイクを持てば話せ、手軽で便利。
デメリット
- 養成課程講習会の開催が年間で少なく、その受講機会が少ない。
- 三海特免許では、出力5Wのハンディー機しか運用できない。
- プレジャーボートには普及が遅れている。
- 交信できるエリアは、海上のみに限定される。
無線使用の注意点
順法であること
日本の電波監理は厳しい。順法であることが必要です。無免許、無登録、違法行為は、かなり厳しく処罰されます。特に無免許は、海上保安庁の臨検で発見されると、場合によっては保安官がその場で乗船して帰港させられます。その後は、保安庁、電波管理局ともども交通違反とは格段に違うレベルになります。
免許の取得、無線局の登録、正しい運用は、必須です。
交信ルールを守る
交信には、正しいコールサインでの呼び出しなど、無線では運用ルールの順守が厳しいものです。この認識は必要で、公共の電波であるので、正しい運用が求められます。
無線は必ずワッチされている
交信数の多い 144MHz 430MHz帯はもちろんのこと、少ないと思える 50MHz帯でも、交信はワッチされています。スキャンかけながらモニターすれば、難なくワッチできます。
また、そのワッチも、より遠くの無線局と交信をしたいというアマチュア無線の原点で、普通のことです。公序良俗に反することなく公明正大に使用すれば何の問題もありません。
近場の僚船との交信ならば、送信出力を下げての運用も一理あり、釣れないボヤキも少しは楽しいです。秘匿性が必要で、沿岸にいるならば携帯電話です。
あとがき
初めて取得するならば、手軽さがあるアマチュア無線です。
そして、機会を作り三海特を取得するのは、おおいにおススメです。1日の講習で取得でき、ハンディー機はお手軽価格です。
アマチュア無線はたいへん便利で、身近な存在ですが、根本は科学的趣味による通信ということですので、ボートの通信手段としては便利ながらも、実をいうと不便さも併せています。
国際VHF無線がさらに普及されれば、ボートの通信手段はさらに便利になると思います。何と言っても船名で呼び合えるのですから、GOODです。
携帯圏外の沖合で、本当の緊急時に巡視船と交信できる国際VHF無線は、命綱です。
ただ、海上特殊無線技士の養成講習会が少ないのが問題ですが、何としても機会を作り、取得されるのがボートの運用では何かとプラスになります。